むかし、こんな子に出会ったことがあります。


お母さんのことが大好きだと話してくれるのに、実際にお母さんに会うと(お母さんがお迎えに来ると)


しかめっ面をしながらお母さんを蹴ったりぶったりと辛く当たって、


「大好きな気持ち」を表現できずにいる子がいました。


お母さんはその子の態度に困ったり、怒ったりして、親子関係も上手くいっていないようで、


見ているこちらもお母さんが気の毒になってしまうような感じでした。


私たちスタッフは原因はなんとなく分かっていたのですが、


とある日、確信した出来事がありました。


その子が日中に熱を出し、お母さんにお迎えをお願いした日、


お母さんがお迎えに来てくれることをとても楽しみにして、熱がありながらもニコニコして待っていたのですが、


お母さんが下の子を抱っこひもで抱っこをして入って来た瞬間に


その子から笑顔は消え、同時にお母さんの足を蹴り出しました。


お母さんはその子に簡単に声を掛け、そのまま帰って行きました。


熱があるのに、まだ3歳なのに、気丈に歩いているその子の後ろ姿を見て、


ああ、あの子は寂し過ぎたんだ


と思いました。


本当はお母さんに抱っこをして(抱きしめて)もらいたかったんだと思います。


下の子が小さいならそれだけ、お母さんの胸は埋まっているものだけれど、


下の子をおんぶをしてでも、ベビーカーに乗せてでも、せめて具合いが悪い時にだけでもいいから


お母さんの胸をその子が独占できたら・・どんなに嬉しかっただろうかと思うと、


帰っていく小さな背中がとても悲しく見えました。


小さい子が親に辛く当たる時は、「悲しみの表現」のことが多くあります。


気持ちを分かってもらえない時、


寂しい時、


思いが伝わらない時、


我慢しすぎた時、


子どもは全身で抵抗して、思いを溢れさせます。


決して、お母さんのことが「嫌いだから」ではないんです。


逆に、お母さんのことが「大好きだから」の態度なのですよね。


もし、こんな風に我が子が辛く当たってきたら、


いろんな事情もあるだろうし、お母さんも精一杯だということもよく分かるけれど、


その時だけは、他の誰よりも


どんな用事よりも


第一に抱きしめてあげて欲しいなと思います。


抱っこできない状況でも


「その子だけに」心を向けることをしてあげて欲しいと思います。


それだけで、子どもの心は安心して解れるもので、


解れた心というのは、攻撃を愛に変えます。


それから子どもにとって「お母さん」は一人しかいないので、


是非「お母さん役」をたくさん作って


お母さん自身が追い詰められないようにして欲しいと思います。


その為には、人に頼り、我が子を手放し、委ねる気持ちを持つことをしてみてくださいね。


そうすることで、子どもはその先でたくさんの愛をもらい


悲しみを尖らすのではなく、癒やして消化させていくことができます。


今頑張っているお母さんは、一人で何とかしようとするのではなく、「一人で何とかしないこと」を目指してみてくださいね。


暮らしの中にたくさんの笑顔がありますように。










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