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この世に生まれてから1年半の間


まだ自分だけでは生きていけない赤ちゃんは、誰かのお世話があって命が続くから


泣いて訴えて「生きるためのサポート」を受けようとする。


一見、おっぱいやミルクを飲んで、オムツを換えてもらって、抱っこをしたり揺らしたりしてもらって安心して眠ることが


「赤ちゃんが育つこと」だと思うけれど、


本当は、この時に同時に育つのは赤ちゃんの「心」。


どんな心が育つかというと、


泣いて訴えた時に無視されないで応えてもらうことで


訴えた自分は応えてもらえる存在だという経験を通して、自分を信頼する「自己信頼感」と


応えてもらえた安心感から世界を信頼する感覚の「基本的信頼感」が赤ちゃんの中に育つ。


反対に、泣いても誰からの反応もないと、行動を起こす自分を否定し世界を不信に思う。


芽生えるのは自分と世界への「不信感」。


そして、「基本的信頼感」が育つと、世界を信じる気持ちから「生きる希望」が強くなる。


生まれて間もない赤ちゃんに育つのは、「基本的信頼感」と「不信感」と「希望」。




1歳半から3歳までに育つのは、「自律」と「恥と疑惑」と「意思」。


1歳半も過ぎると自我が芽生え、なんでも自分でやってみたい!という意思が生まれる。


この時に、自分でやってみることができると自分を律する力の「自律性」が身に付き


自分を律する性質や傾向が身に付くと、そのまま「意思を持つ力」が育つ。


2歳の「イヤイヤ期」は、


「自分の意思を持つこと」がこれから生きる上で大切だということを子どもは知っているから起こること。


子どもがイヤイヤしていたら、「自分の意思を持つことを育んでいるんだな」と思おう。


それでも続く子どもの行動に参ってしまったら、物理的に距離を置いて大人が冷静になろう。


子どもは大人を困らせるためにイヤイヤしてるんじゃなくて


ただ、自分に忠実に生きるためにしてるだけなんだ。


「自分への忠実さ」は、大人になった自分を救う力となることを子どもは本能で知っているんだよ。


「自律」は自分の意思で自分をコントロールする力だから、芽生えた意思に従い自分でやってみることで育っていく。


だから、大人ができる範囲で子どもにやらせてあげることに大きな意味がある。


そして、自分の意思で動いて失敗したり上手にできなかった時に、過度に怒られたり否定をされると子どもの中に芽生えるのは、


「恥ずかしさ」とできなかった自分を疑う「疑惑」。


「恥」と「疑惑」の経験が増えるほどに奪われるのは、子どもの「意思」を持つ力。


「自分を持った子」に育って欲しいと願うなら、


大人が見守り子どもに委ねるという環境が必要になる。


自由に選択するという自律を徐々に大人に導かれて経験することが、1歳半から3歳くらいの子には大切なことなんだ。




「自律性」が育まれると今度は、3歳から6歳頃に「自発性」と「罪悪感」と「目的を持つこと」が育つ。


自発性は「自ら発する」こと。


誰かに言われたから動くのではなく、自分の内部から発せられた動機で行動をすることをいう。


外的要因ではなくて内発的動機付けで動くから、行動の全てが「自分ごと」になる。


だから、大人に過度に怒られたり干渉されすぎたりすると、


自分自身を否定された気持ちになり、自発的に行動した自分に「罪悪感」を持つようになる。


子どもが起こした行動や思いが大人の価値観や道徳に合っていなくても、


先ず「受け止める」ことは子どもの自発性を育てるために必要な大切な大人の行動なんだ。


4歳も過ぎると、段々と言葉も巧みになり大人に反抗するようになるけれど、


それは自発性を育てることで獲得する能力が「目的を持つこと」だから。


大人に過度に反対されることで、自分の目的を失うことにならないように子どもは知っている言葉や態度で精一杯に反抗する。


これも、大人のことが嫌いだからしているんじゃなくて、子どもの「生きていくための大事な反応」。


そして、目的を持つことを覚えた子は、自分の生きる世界に希望を見出し「夢」を抱くようになる。




子どもの発達には段階があって、その時に必要な「課題」を乗り越えることで力や心を獲得していく。


学校教育ではあまり習わないけれど、幼児期には心や能力の育ちに適切な時期が詰まっているから


大人がその発達段階を知ることは、子どもにより良い人生を与える鍵となる。


そして、赤ちゃんや子どもがすることは「全て生きるために必要な行動」だということを知れると


大人には不可解な子どもたちの行動を必要性に変えることができる。




忘れてしまうけれど、私たち大人も「より良く生きることだけ」を見ていた子どもだった。


大人になった自分の視点から見ると、時に子どもは「困った子」になるけれど、


子どもの視点に立ってみると、それは本当に純粋な「より良く生きる方法」なだけなんだということが分かるよ。


もっと子どもという本能の領域で生きる人に委ねてみよう。


より良く楽しく生きていくために大切なことを知っているのは、大人よりも子どもの方だよね。




(発達心理学者エリク・ホーンブルガー・エリクソンの心理社会的発達理論を元にして書いています)


エリクソンのライフサイクル理論の幼児期までのまとめ(※個人差があるので分けてある年齢は目安にしてください)

0~1歳半(乳児期)
基本的信頼感 対 不信感
獲得する心は「希望」

1~3歳(幼児期初期)
自律 対 恥と疑惑
獲得する心は「意思」

3~6歳(幼児期後期・遊戯期)
自発性 対 罪悪感
獲得する心は「目的」









 

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